青空のむこうに~バスケに恋して~
「その時は一人で行くわけないじゃん。ゆずを連れて行くに決まってる」
「えっ?!」
トージはフッと笑うと私にキスをした。
唇が離れると、私は顔を上げた。
「…あれ、これってやっぱ、プロポーズになるのかな?」
「さあどうでしょう?それが聞きたければ…もちチーズたい焼きを買って来い」
もー。
せっかくのムード台無しだしっ!
「…ゆず、これだけは言っておくよ」
「なに?」
ムッとしながらトージを見ると、彼は優しそうに微笑みかけてくれた。
「オレも、心に闇をかかえてた。でも、ゆずと出会えたからあの日、夜明けを迎えることができたんだ」
「…トージも心に…?」
「人の心の闇の度合いはさまざまだし、ゆずに比べればオレのは浅いほうなのかもしれない。…でも、オレにとってのゆずは朝陽なんだぜ?」
トージにとって、私は朝陽…?
「だから、ゆずがこの世から消えてたら、オレの心に夜明けが来る事がなかったって事」
「…そっか…」
私はそっとトージの手を握った。