倦む日々を、愛で。
悲鳴を挙げてブン投げたい衝動を押さえながら、ひきちぎられて干からびたらしい蛙の後ろ足を丁寧に地面に置いた。ついでに蛙の冥福も祈った。
蛙の足を拾った怪獣はその後も花壇の花をむしろうとしたり、砂場の砂を頭から被ったりと暴れていたが、芝生に潜むバッタに騙し討ちを喰らい驚いて泣いた時に電池が切れた。充電モードに切り代わり、動かなくなった怪獣を抱えて帰る。
何も電池が切れる直前まで動いてなくたっていいじゃないか。こちらも電池はカラカラで、気力という名の自家発電に切り変わっている。
へろへろになりながら家に着き、怪獣を布団に下ろす。
怪獣は旦那によく似た顔で寝息を立てる息子に戻っていた。
さて、と。
恐らく今から一時間半で充電は完了し、息子はまた怪獣に変身する。その間に私は洗濯して朝食片付けて、掃除をしなきゃいけない。でも起きてきたらまた怪獣とのバトルが待っているであろうからその前に洗濯機だけ回して私も充電充電…ぐぅ。
こんなふうに充電メインでごく平凡な主婦の午前中はうららかに、しかしサバイバルに過ぎてゆくのだった。
《終わり》