倦む日々を、愛で。
愛って落花生みたいだと思った。

殻を割ってゴミを出して、労力と不要物の割にどう見たって対価の方が小さい。
でも滋養高い白い粒を得るためにはどうしてもこれだけの物事が必要なんだ。
これをどう取るかは食べる側の問題であって、落花生は落花生としてどうしようもなく手間がかかるように。

私が帰った後、おそらくアキはもー、とか言いながらこの部屋に掃除機をかけるだろう。
でもなんかそれも愛なんだろうな、と私は思った。

「愛してるわ、アキ」
おどけた調子でアキにウインクしたら私もよ、なんて返ってくる。

ごろりと寝転べば窓から空が見える。
風に乗って枯葉が舞う。
これを風流と取るか寒そうだと思うか、ゴミだと思うかは私次第だ。

粗を粗としよう。私は思った。
粗が多くてもいいじゃないか。それはそれとして一緒に過ごしてくれる人がいる。

「あー、やっぱり大好きな彼氏がほしいー!」

だからまたこんなことを言ってしまってアキに笑い飛ばされるのだ。軽い調子で。


《終わり》

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