願望恋愛♪ ~もしも・・・~
そして
またしても、片手で私のアゴを触り
クィっと、
上を向かせた
へっ?! な、なに?!
「今日子さんさー
自分でも気づいてないだろ?
ちょうどさ、
アゴの下に、小さなひし形のホクロ
あるんだ…」
「えっ?! ホクロっ?!」
アゴに手を添えられてるもんだから
課長の顔を見るしかない状態…
「ぶっ!
今日子さん
今、どれだけ間抜けなカオしてるかわかってる?」
「な、な、なによっ!
人のカオで笑うんじゃないわよっ!」
アゴに添えられていた課長の手を掴み、
睨んでやった
「5歳のオレはさ、
お姉さんを見上げると
アゴがしっかり見えるワケだよ
小さな子供には、
そんなトコにあるホクロが
珍しくて、記憶に残ったのさ
それと…
今日子さんの手…
オンナにしちゃ、厚みがあったし…
オレがまた迷子にならないよう
しっかり握っていてくれたぬくもり
覚えてないようで、覚えてた
迷子センターに預けてしまえばいいものをさ
一日中、オレを悲しませないよう、飽きさせないよう
ずっと一緒にいてくれただろ
メリーゴーランドも、何度も何度も一緒に乗ってくれた
小さな何の力もない5歳の坊主だったけど
オレは、今日子さんに
一生分の優しさとぬくもりをもらった気がした
だからさ…」
私が、課長の手を離そうとしたのに
逆に、
しっかりと捕まえられて…