お姫様にキスを
「どうしたの?さっきは一緒に帰らないって…。」
「別に…。…ただ、」
「ただ?」
今までずっと無表情だった杜山さんの頬がちょっと赤くなった。
…これは…照れてるのか?
「ただ…あんたが太郎に似てたから、一緒に帰ってやってもいいと思っただけ。」
「…太郎?」
え、え?
まさか…彼氏、とか…?
「犬」
「へ?」
「だから、家で飼ってる犬。あたしについてこようとするとことか、馬鹿なとことか、髪のいろとか…。」
…俺、今初めて思った。
髪この色に染めてよかった…。
「…ほら、さっさと帰るよ。今度はほんとに置いてくからね。」
「待って、今すぐ靴変えてくるから!!」
今日はめっちゃついてるなあ、とか思って頬を緩ませながら、今にも帰ってしまいそうな杜山さんを待たせない為に、俺は慌てて靴を変えた。
*小高side END*