お姫様にキスを
女子も男子も、みんなそろってあたしを見ながらコソコソ話をしている。
…なによ。
別に1人なのはいつもの事だから、みんなの視線を押しのけて自分の席に向かう。
自分の席まであと数歩、というところで。
「あのお、杜山聡美さんっていますかあ?」
妙に甘ったれた、高く綺麗な声。
そんな声がピリピリとした教室内に響き渡った。
「あの、杜山ならあたしですけど。」
気まずい空気。
そんな空気に比例し、甘い声の女の子の顔はキラキラと輝いていく。