終わりのない世界に告ぐ。
憂鬱
***
「…―で、この値をこの式に代入して…―」
一段と暑さが増した昼下がり。
数学の木下に、睡眠術をかけられながらも、俺は窓の外を眺めていた。
眼下のグラウンドでは、灼熱の土と戦う生徒の姿が見える。
こんなくそ暑い中、ご苦労様なことだ。
眠気と暑さでボンヤリする頭で、そんなことを思った。
下らない毎日の繰り返し。
言ってしまえば、決められたサイクルの繰り返し。
どこかで命が生まれ、どこかで命が消える。
マニュアル過ぎて、欠伸すら出てくる。
映画や漫画のように、突然能力が使えるようになるとか、実は殺し屋に命を狙われているだとか…。
そういったことが一つぐらいあってもいい気がする。