年上王子様
「な、泣いてなんか…っ」
「嘘つけ。そんな震えた声で言ってもバレバレ。」
速水さんはそう言って笑った。
「ゆゆ、こんな時に言うのって、ずるいかもなんだけど。」
速水さんが話し始めた。
ずるいって…?
速水さんは、私を体からスッと離し、
目を合わせた。
私は思わず反らしそうになったが、
速水さんに顔を固定されて、できなかった。
なんだか、私の心臓の音が、
妙に大きいのは、気のせい?
「俺さ、ゆゆのこと、好きになったんだ。」
………へ?
速水さんが、私のこと、好き?
「返事は今すぐじゃなくていいから。考えてよ。」
「は、はい…。じゃあ…」
「おぅ。おやすみ。」
「おやすみなさい。」
私は、車から出て、
車が見えなくなるまで、ぼーっと見ていた。
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