年上王子様

プルルルップルルルッ

速水さんに初めて電話をした時と同じくらいドキドキしてる…。
窓の外の速水さんは、
ケータイが鳴っていることに気づいたらしく、ズボンのポケットを探っている。
なんか、目の前の人に電話するって、
変な感じだな…。
「ゆゆ?どした?」
出てくれた…。
いつもの速水さんだ…。
私は、出てくれたことに、
そして、速水さんの声に、
とてもホッとした。
「ごめんなさい。特に用はないんです。ただ、声が聞きたくなっちゃって…」
私は、このセリフを言った瞬間、
とても恥ずかしくなった。
私、何こんな少女マンガの主人公みたいなこと言ってんの!
「かわいいこと言ってんじゃねーよ。」
速水さんは、照れくさそうに笑った。
やっぱり浮気じゃないんじゃないかな…。
「お仕事中ですよね。切ります。」
「おぅ。わりーな。また連絡する。」
それで、電話は終わった。
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