年上王子様

ピーンポーン…

あっ、速水さんだ!
5分前に来るなんて、きっちりしてるな~。
それに比べて私は…(泣)
「ゆゆー、お客さんよー!」
下からお母さんの声が聞こえる。
「はーい!今行くー!」
ケータイと財布、ポーチを引っ掴んで、
白のカバンに入れた。
階段を駆け降りると、ニヤニヤしたお母さんが待っていた。
何…。
「ゆゆ~、すっごいイケメン捕まえたのね~。しかも、オ・ト・ナ♪」
なぜ42歳にもなって、こんなテンションでいられるんだ…。
「デート、楽しんできなさいね~。別に帰って来なくてもいいから!」
その発言、年頃の娘を持つ親としてどうなの?!
まぁいーや。
速水さん待たせてるし。
「行ってきます…」
私は、黒のパンプスを履いて玄関を出た。
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