年上王子様
速水さんは、愛車にもたれて待っていた。
私服もカッコいいなぁ…。
速水さんは私に気付いて、手を挙げた。
「おはよ、ゆゆ。何見惚れてんの?」
速水さんはニヤニヤしながら聞く。
意地悪だなぁ!
理由なんてわかってるくせにっ…。
「だって…カッコいいから…」
私は俯いて言った。
だって、大人な速水さんを見ると、
昨日あんなに悩んだ自分の服が、
すごく子供っぽく、無意味に見えてしまったから…。
やっぱり、私が女子高生っていう事実は変えられないんだなって、
実感した。
「ゆゆも、すっげぇかわいいよ。」
速水さんはそう言って、私の頭を撫でた。
それだけで赤くなっちゃう私って、
やっぱり子供…だよね…。
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