年上王子様
気付いたら、
私達は水族館を出てしまっていた。
嘘っ、まだ全部見てないのに!
しまったー!
もったいねぇ!
って、そんなことは後だよ!
「なんか重ね重ねごめんなさい。」
私は速水さんに頭を下げた。
怒らせちゃうし、注目の的にさせちゃうし…。
注目の的はもとからか。
イケメンさんだしね。
「いや、いいよ。恥ずかしかっただけなんだよな。俺こそ……拗ねてごめん…。」
へ?
速水さん、拗ねたの?
「俺、なんか余裕ねーみたい。年上なのにな。」
速水さんはそう言って、
力無く笑った。
その顔は、今までにないくらい
すごく切なかった。
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