年上王子様
しばらく待っていると、速水さんがやって来た。
あれ?車じゃない…。
「速水さん!こんばんは。今日は車じゃないんですね。」
「あぁ。ゆゆとゆっくり歩くのも新鮮かなってさ。」
そう言って、速水さんは私の手を自然に取り、
歩き始めた。
やっぱり大人だなぁ…。
「ゆゆ、こんなに冷えて。」
あ、手のことかな…。
「ごめんなさい。冷え症で…」
「違うだろ。中で待ってればいいのに、外で待ってるから…。」
速水さんは私の頭を、
ぺシッと軽く叩く。
「あたっ。ごめんなさい…。」
私は素直に謝って下を向いた。
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