奴
身の上話を雑多な音として聴きながら
ザワザワと胸の奥を虫が這いずるかの如く、嫌な感覚が体を支配しだした。
できれば関わり合いたくない他人との接触のせいか、もしかしたら隣人かもしれないと言う予感のせいだろうか。
人との付き合いは苦手だと再認識していた
その時…
奴だ!
近くに気配を感じ身構えた。
辺りを見回すが姿はなく、緊張感を漂わせながらマンションへと入ろうとした時‥
人影が電柱の影で動いた気がし、目を凝らしてみた。