奴
残業確定の仕事を手際よくこなし、窓から照りつける陽射しを遮る為、ブラインドを降ろしながら彼女はやすらぎを感じていた。
周りには人がいるし、奴の気配も感じない。
ハァーっ
深い溜息をひとつ‥‥
そして
考え始めた……
なぜオフィスと自宅だけには現れないのか‥
あっ!
高所恐怖症?
やっぱりセキュリティーの関係かなぁ‥?
呑気に考えていたが、これからの恐怖を想像すらせずに、雑務に身を投じていった。