奴
仕事が片付いた時、既に陽は暮れ月が綺麗に輝いていた。
さて‥
すっかり遅くなっちゃった。
防犯グッズは完璧だけど、今日はどうしよう?
その時‥
絶妙なタイミングで携帯が鳴った。
『今どこ?』
「会社‥」
『あとどれ位で終わる?』
「今終わったところ‥」
『10分で行くよ』
人の予定もお構いなしに何なのよ!
でも‥
なんてタイミングのいい人…
彼女は安堵していた。
少なからずこれで暫くは身が守れるし、一人ではない。
彼の電話で奴の存在を忘れ、彼女は少し無防備になってしまった。