また、明日~天使の翼を持つキミへ~
白くて透き通る颯太くんの肌。
でも、頬は微かにピンク色。
口角は少し上がっていて、とても幸せそうな表情をしている。
――“ありがとう”
緑色のカーテンが、大きな音をたてて風に揺れた。
太陽の光りが真っすぐに差し込んできて、オルガンの鍵盤がキラリと輝いた。
窓の外で、颯太くんが笑ったような気がした。
ニッと白い歯を見せて、無邪気に笑っていた。
15歳の、あたし達の天使。
あたし達は、最後の最後まで、颯太くんの苦しむ顔を見たことがなかった。
「颯太……ありがとう……俺……生きるからな……」
親太郎は嗚咽を飲み込んで、颯太くんをキツク抱きしめた。
生きようね、親太郎。
絶対生きて、颯太くんの為に歌おうね。
天国に、親太郎の歌声、届けようね――…
颯太くん。
本当に、ありがとう。
―Chapter 5―