また、明日~天使の翼を持つキミへ~
親太郎は、初心に戻って発声練習から始めた。
拓海くん達が音合わせをしている時にも、ひとり腹筋をして肺活量を鍛えた。
でも、やっぱり、限界がある。
以前に比べて体重が落ちた親太郎の声は、少し細くなっていた。
楽々出ていた高い声も、なかなか出せなくなっていて。
親太郎が歌を始めてから、それは初めてのことだった。
一番悔しがってるのは、親太郎本人。
けれど親太郎は、くじけなかった。
残念な表情はするけれど、『もう1回、今のところ頼む』
そう言って、何度も何度も納得いくまで練習を続けた。
自分の声を自在にあやつることのできない今の親太郎には、相当難しい曲だと思う。
でも、曲を変えることはしなかった。
親太郎の好きな曲だから。
あたしも、どうにか、その曲を歌ってほしかった。