また、明日~天使の翼を持つキミへ~


文化祭は明後日。


お風呂からこうやって親太郎の歌声が聞こえてきたのは、いつぶりだろう。


あたしは部屋の窓を開けて、親太郎の歌声を聞いた。


ひんやりと頬を撫でる風が、親太郎の歌声を運んできた。


ベッドに座って耳を澄ませる。


すると、親太郎との思い出が、走馬灯のように駆け巡った。



小学生の頃、早く大人になりたいと“徹夜”に挑戦していたこと。


進路について大喧嘩したこと。


バンドをつくりたいと、生徒会室に乱入したこと。


17年間の思い出で溢れた。


親太郎の病気が発覚して、一度は絶望した。


でも、親太郎は頑張った。

本当に頑張った。


弱音を吐きながらも、辛い治療に耐えた。


“ありがとう”

今、親太郎に一番伝えたい言葉。


生きてくれて、ありがとう。

生まれてきてくれて、ありがとう。


いつも一緒にいてくれて、ありがとう。


そうだ。

親太郎に、手紙を書こう。

あたしの想いを、全て込めて――…





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