また、明日~天使の翼を持つキミへ~


吉野公園に入って一番最初に出迎えてくれるのは、色鮮やかに並んだ“花時計”だ。


花壇に作られた大きな時計。

その周りを、季節の色とりどりの花が囲んでいる。


そしてまっすぐに続くイチョウの木。


展望台まで続くその道にはイチョウの葉が落ちていて、まるで黄色いじゅうたんが敷かれているようだった。


「キレイだね」


あたしが言うと。


「ホントだな」


親太郎もうっとりと答えた。



親太郎の準備が遅かったせいで、“花時計”はもう12時30分を指していた。


お腹が減ったとぼやく親太郎の為に、早速お昼タイム。


黄色いじゅうたんの上を歩き、桜島のよく見える展望台へと向かった。


体力の少し落ちている親太郎には、長い道のりだと思う。


息を切らして、何度か足を止めていた。


それでも、親太郎の目は輝いていた。



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