また、明日~天使の翼を持つキミへ~


「久しぶりだからねー。考えてみたら中学のとき以来じゃない?」


中学のとき、バンドの練習の差し入れによくお弁当を作って持って行ってた。


でも高校に入ってからは、放課後に1時間しか練習ができないから、お弁当を作ってあげることもなくなったんだ。


「そうか。じゃあ、約2年ぶり?」


「そういうことになるね」


あたし達は微笑み合って、『いただきます』と声をそろえた。


お弁当のふたを皿代わりにして食べるのが、親太郎の食べ方だ。


おにぎりと、親太郎の大好きな唐揚げと。


それは昨日から味付けしてある、あたしの一番のオススメ品。


「うめー」


「そう? よかった」


「あの頃よりも、遥かにうまい気がする」


心臓が跳ねた。


「褒めても何も出ないよー」


憎まれ口を叩くのは、ただの照れ隠しだ。





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