また、明日~天使の翼を持つキミへ~
親太郎は、手紙を強く握りしめ『わかった』と、それだけ言った。
大切に鞄の中にしまい、あたしを見て照れ臭そうに笑った。
その瞬間、ドーンと鈍い音を立てた桜島。
ブリキのおもちゃのように、ギシギシと桜島を見てみると。
灰色の雲がもくもくと上がっている。
サーっと青ざめていくあたし達の顔。
さっきまで桜島の有難みについて語っていたのに、親太郎は苦笑いを浮かべていた。
「お、おい、菜緒」
「うん、親太郎」
「風向き、どっちだ?」
「こっち…だよね」
「明らかに、こっち…だよな」
あたし達は、嫌な予感がして目を見合った。
「菜緒っ!! 急げっ!! とりあえずここから避難だっ!!」
「親太郎っ!! 転ばないでよっ!!」
「それはおまえの方だろ?」
ギャーギャー言い合いながら、来た道を小走りで戻る。
桜島が命を吹き込んでくれてるのはわかるんだけど、この灰だけは、どうしても、苦手です。