また、明日~天使の翼を持つキミへ~
……へ?
あたしは、ひねっていた腰を止め、そのまま親太郎を見た。
「気づいてんなら話に入ってこいよっ!!」
あ……
バレてました?
「ホント……おまえヘタすぎ」
親太郎は大きなため息をひとつついて、首の後ろをガシガシとかいた。
「道具のチェックはとっくの昔に終わってんだろ?」
「………」
はい。 とも言えず、俯いた。
「こいつら、俺らがいると邪魔なんだってよ」
「はぁ!? 俺一言もそんなこと……」
親太郎の発言に目を丸める拓海くん。
「仕方ないから、お邪魔虫は消えようぜ」
はっ? と顔を上げる。
ちょっと期待してたのに……
何よ、その誘い方。
すごく不機嫌そうな親太郎の顔。
眉を寄せ、口を尖らせ。
でも、あたしは知ってるんだ。
「な、なに笑ってんだよ」
それが、親太郎の照れた表情なんだってこと。
「べっつにー? さぁさ、お邪魔虫は消えましょうか?」
あたしは親太郎の背中を押し音楽室を出て、ドアを閉める前に拓海くんにピースサインを向けた。
もちろん、親太郎から見えないように。