また、明日~天使の翼を持つキミへ~
親太郎と肩を並べて校内を歩く。
でも、廊下を歩く人が多すぎてなかなか前へ進めない。
1歩進んだと思えば、2歩さがっていて。
これじゃ、お店を見る前に時間がきてしまう。
せっかく親太郎と2人で回れることになったのに、何もいい事ないじゃん。
「おい、ふて腐れてるヒマがあるんだったら、ちゃっちゃと歩けよ」
え? と、親太郎を見たときには、あたしの左手は親太郎に引っ張られていた。
親太郎を見て、左手を見て。
目と口が同時にパクパクと動く。
親太郎はあたしに有無を言わさず、グングン人ゴミを避けて進んでいき。
あたしは、親太郎の背中をただ眺めているだけ。
人にぶつかってはずれてしまうニット帽を左手で押さえ、右手はガッチリあたしの手を握っている。
大きくて、骨ばっている手。
小さい頃の、少し汗ばんだムチムチした手ではなくなっていて、ちょっとビックリした。