また、明日~天使の翼を持つキミへ~


あたし達は、グラウンドの模擬店で焼きそばを買って歩きながら食べた。


交互に焼きそばを食べていき、たまに親太郎が独り占めしようとあたしに背中を向けて大口を開けた。


それを阻止するあたし。


親太郎の腕を引いてこっちを向かせ、手から焼きそばを奪い取った。


口を尖らせる親太郎は焼きそばだけでは足りなかったらしく、次は団子を食おうとあたしの制服をクイクイっと引っ張った。


まるで、おねだりをする小さな子供のように。


お祭りが大好きな親太郎。


みたらし団子が売られているテントまで小走りする背中を見ていると、自然と笑みがこぼれた。


これが、ずっとこのまま続けばいいのに。


もう病院になんか行かずに済み、また普通の高校生活が送れたらどれだけ幸せだろう。


こうやって食べたいものを好きなだけ食べ、やりたいことを満足いくまで続け。


このまま大人になっていけたら……



親太郎に忍び寄る邪悪な気配。


それがこんなに近づいていたなんて、知りたくもなかった。




< 202 / 366 >

この作品をシェア

pagetop