また、明日~天使の翼を持つキミへ~


あたし達の首で揺れる羽のネックレス。


満足そうな親太郎は、極上の笑顔を見せた。



「お、そろそろ時間だな」


教室の時計を見て、親太郎が言った。


「ホントだ。なんか、あっという間だったね」


「まぁ、ブラブラするのはライブ終わってからでもできるし」


「そだね」


あたし達は、ライブに遅れないように足早に音楽室へ向かった。


さっきよりも人の数が減っていたおかげで、今度はスラスラと歩くことができた。



その時――。


向こうから歩いてくる片山さんの姿を見つけた。


廊下には他にも人がいたのに、あたしには片山さんの姿だけが浮いて見えた。


少しずつ縮まるあたし達の距離。


一瞬、片山さんと目が合ったけれど、それはすぐに逸らされた。


あたしも片山さんを視界に入れないように、廊下の窓の向こうを見た。


けれどどうしても視界に入ってしまい、すれ違う瞬間、片山さんが親太郎に背中を向けたのをはっきりと見てしまった。


グッと拳を握る。


唇を噛みしめ、通り過ぎた片山さんを振り返った。


すると、向こうもこちらを見ていた。


どうして?

どうしてこんな酷いことをしておきながら振り返ることができるの?


理解できない。


あなたがあたし達を振り返る理由なんてないじゃない。


どれだけあたし達を傷つければ気が済むのよっ!!



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