また、明日~天使の翼を持つキミへ~


高橋くんのドラムと、叶くんのギターが同時にリズムを刻む。


拓海くんのベースが響くと、親太郎の透き通る歌声が重なった。


優しい歌声。

美しいビブラート。


親太郎の裏声が会場に響くと、会場が沸いた。


あたしもみんなと一緒になって飛び跳ねた。


時々親太郎と目が合って、熱狂的なファンのように両手を振った。


舞台の上で気持ちよさそうな親太郎。


颯太くんも、どこかで見てるかな。


そうだといいな。



最後の曲は、少し静かな曲だった。


今まで激しく飛び跳ねていた会場は、静かに体を揺らし切なさに包まれた。


親太郎は目を瞑って歌っている。


親太郎の気持ちが、会場のみんなに伝わった。


この歌詞を聞いていると、自然と涙が出てくる。


切ないのに、美しくて。


今の状況と歌詞が重なり、あたしの瞳から流れる涙は演奏中止まることはなかった。




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