また、明日~天使の翼を持つキミへ~
「片山さんっ!!」
名前を呼んで引きとめたのは、シンと静まり返る2年生の靴箱。
文化祭の続く今の時間帯は、誰もここを通る人はいなかった。
あたしの声に振り返った片山さんは、あたしを見た瞬間に目を泳がせ俯いた。
そんな態度にさえ、怒りがこみ上げる。
「片山さん、ちょっと、話があるんだけど」
「………」
「さっき、ライブ見に来てたよね」
あたしが言うと、悪いことがバレたかのように、片山さんはハッと顔を上げた。
「もしかして、親太郎を見に来たの?」
少しずつ、核心に迫る。
でも、少しずつ、あたしの心臓がギシギシと鳴き始めた。
片山さんはまたあたしから目を逸らした。
「あたしね、ずっと片山さんに聞きたいことがあったの」
「………」
「前にね、噂で聞いたことがあって。片山さん、親太郎のことが好きだって」
「………」
「1学期の合唱コンクールの時、よく親太郎と夜遅くまでピアノの練習してたじゃん。あの時、もう親太郎のこと、好きだったんだよね?」
片山さんは、しばらく俯いていたけど、ゆっくりと首を縦に振った。
ズキンと軋む、あたしの心臓。
「じゃあ、今は?」