また、明日~天使の翼を持つキミへ~


片山さんは、深く頭を下げると踵を返し静かな廊下に消えて行った。


ひとり残されたあたしは、小さな子供のようにワンワン泣いた。


制服の袖で涙を拭うけど、全然止まらなくて。


片山さんのことを酷いと思ってたけど、酷いのはあたしの方だった。


勝手にイライラして、勝手に追い込んだ。


“ごめん”はあたしの方。


親太郎を中心に考え過ぎて、見える世界が狭まってた。


片山さん、ごめん……


悔しいよ。

すごく悔しい……




「僕を飼ってくれるのは、あなたですか?」



突然、背後でロボットのような高い声が聞こえた。


泣き顔で振り返ると、目の前にはブタのぬいぐるみが。


さっきあたしが咄嗟に指差した、紫色のブタの抱きマクラだった。



< 219 / 366 >

この作品をシェア

pagetop