また、明日~天使の翼を持つキミへ~
あたしは、まるまると太ったブタのぬいぐるみに視線を落とした。
「今の、会話、聞いてた?」
恐る恐る聞いてみる。
親太郎は、『いや?』と、首を振った。
「まぁ、聞いたっちゃー聞いたけど、別に俺は何も気にしてないよ」
親太郎は頭の後ろで両手を組んで、あたしに背中を向けた。
「ただ、出るタイミングが分かんなくてずっと靴箱に隠れてただけ」
「ごめんね……」
「なにが?」
「ううん。なんでもない……」
「フンっ。なんだよ、それ」
親太郎は鼻で笑うと、あたしをクルリと振り返った。
「俺、結構嬉しかったよ」
「え?」
「おまえのその涙」