また、明日~天使の翼を持つキミへ~
……親太郎。
「俺の幼なじみは、性格のいいヤツって自慢できる」
親太郎はニッと笑ってそう言うと、『早く行こうぜ』と歩き出した。
「さっき回れなかったところ、全部見て回るぞ」
あたしは、歩いて行く親太郎の背中をしばらく見ていた。
相変わらず背中のシャツにはシワができていて。
あたしの大好きな、大きな背中で。
それを見ていると、もう涙なんて出なかった。
「菜緒、腹減らね?」
「えー!? さっきあんなに食べてたじゃん!! どんな胃袋してんのよ!!」
「んなこと言ったって成長期なんだから仕方ねーだろ!! 思いっきり歌ったから体力使ったんだよ!!」
「それにしても信じらんない!!」
あたしは、ブタのぬいぐるみを抱えながら、親太郎の隣を歩いた。
「あ、そうだ。帰りに肉まん買って帰ろうぜ」
「肉まんも食べるの?」
あたし達の笑い声が、校舎中に響き渡った。
ここにも、きちんと記憶させたい。
あたし達は、確かにここに存在していたんだってこと。
ずっとずっと、残していきたい。
―Chapter 6―