また、明日~天使の翼を持つキミへ~


「そ。親太郎から名前をとって、“太郎”。可愛いでしょ?」


「太郎って……微妙」


親太郎は眉間にしわを寄せ、何やらズボンのポケットをまさぐり始めた。


「んじゃ、太郎と菜緒を記念に一枚」


カシャ――。


ポケットから出てきたものが何か脳が判断する前に、シャッターを押されてしまった。


デジカメの画面に映ったあたしの顔は、きっと口が半開きの間抜け顔だ。


「ちょっ、いきなりなによっ!!」


太郎をギュッと胸に抱く。


「だから、記念撮影だよ。おまえの将来の旦那とのツーショット」


「はぁ? 将来の旦那?」


「そ。将来の旦那」


親太郎はウシシと笑って、『おまえの将来の旦那は、太郎のようにまるまる太った人かもしんねーしな』と、またデジカメをあたしに向けた。



< 226 / 366 >

この作品をシェア

pagetop