また、明日~天使の翼を持つキミへ~
放課後、親太郎と2人っきりで。
親太郎は、ただの音楽バカ。
でも彼女は、親太郎に好意を寄せていた。
直接聞いたわけじゃないけれど、親太郎と接する仕草や態度を見ていたら、一目瞭然だ。
いくら親太郎が音楽バカだからって不安にならないって言ったら、嘘になる。
だって、夕日に染まる音楽室だ。
それも、狭い箱の中に2人っきり。
不安にならない方がおかしい。
だからというわけじゃないけれど、あたしは玄関先で親太郎を待っていた。
音楽室から聞こえてくるピアノの音。
少し弾いては手を止めて。
またしばらくして、ピアノの音色が漏れてくる。
音楽室からの音色が止まる度に、あそこでは今、どんな会話が交わされているんだろうと、やきもきした。