また、明日~天使の翼を持つキミへ~
夏休み1日目。
補習授業が終わった後、何故かあたしだけ担任に呼び出された。
ひとりで職員室に向かい、担任の隣に腰かけた。
昔から、職員室という場所はあまり好きじゃない。
悪いことをしたあとぐらいしか呼ばれない場所だから。
小学生の頃、親太郎と何か悪さをしては、よく2人揃って職員室に呼び出されていたっけ。
「先生、話って何ですか? あたし、早く親太郎の病院に行きたいんですけど」
あたしが言うと、先生は引きだしの中から何やらプリントを1枚取り出した。
あたしの進路希望用紙だ。
「ちょっとなぁ、進路のことで確認したいことがあってなぁ?」
40代半ばのメタボ気味の先生は、椅子の背もたれに体重を預けあたしを見た。
「確認したいことって?」
少しでも早く病院に行きたくて、急かして聞いた。
「田沢は、本当に音大に行きたいのか?」
……は?