また、明日~天使の翼を持つキミへ~


「……え?」


怒りが、少しずつ引いていった。


「今、田沢が口にした理由は、三浦の理由だろ?」


「………」


「そこに田沢の動機はないじゃないか」


「……動機?」


「志望動機だよ。三浦の夢は立派だと思うよ。先生には音楽の才能がないから、三浦の歌声や高橋達の楽器のうまさには感心するし、もちろん先生も将来三浦達がテレビに映ったりライブなんかでたくさんの人を感動させられるくらい成長してほしいって思ってる」


でも。と、先生は続けた。


「田沢はどうなんだ。三浦のことは抜きにして、本当に心から音大に行きたいと思ってるか?」


サーっと、目の前から光りが遠ざかっていった。


本当に、心、から?

音大に行きたい?


親太郎は抜きにして……


音楽は好き。


小さい頃から、親太郎と色んな音楽を聞いてきたから他の人よりちょっとは詳しいと思う。


あたしだって、高い目標を作りたい。


今まで何かに没頭したり、本気を出したりしたことはなかった。


だから、今頑張りたいんだ。


親太郎と一緒に、同じ目標に向かって走りたい。


それじゃダメなの?





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