また、明日~天使の翼を持つキミへ~
「またステージに立って、揺れる会場を見たいなぁ。んで、去年よりも曲数増やして、次は絶対俺達のオリジナルの曲を歌うんだ」
相変わらず静かな声だったけれど、目はとてもキラキラと輝いていた。
あたしは、この親太郎の目が大好きだ。
あたしまでテンション上がってくるから。
「それで?」
あたしが聞くと、親太郎は頷いてまた話し出した。
「アンコールなんて声を聞きたい。一度ステージからおりるマネをしてさ、実はちゃんとアンコールの曲を準備してんだ」
「えー、ちゃっかりしてるー」
「基本だって」
あたしは、親太郎と目を合わせて肩をすくめ笑い合った。
また天井を眺めた親太郎は、大きく息を吸い
「それができたら、もう、思い残すことはないなぁ」
今にも消え入りそうな声で言った。
震えている。
親太郎の肩が、小刻みに震えてる。
やっぱり、親太郎は勘付いてる。
そしてきっと、あたしが泊まりたいと言った、本当の理由も。