また、明日~天使の翼を持つキミへ~
「菜緒ちゃーん!! そろそろ出ないと、遅れるわよー!!」
1階から、おばさんの声。
「はーい!! 今行きまーす!!」
あたしは、部屋のドアを閉めて階段を駆け下りた。
玄関で靴を履いていると、スーツに身を包んだおばさんとおじさんがリビングから出てきた。
「いよいよ、卒業か。あっという間だったなぁ」
おじさんがしみじみと言った。
「おじさん。親太郎の写真、取ってきたんだ。
一緒に連れて行ってもいいですよね?」
そう言って、ポケットの中から写真立てを取った。
「もちろん。なんなら、もっとたくさん持っていくか?」
そう言って、おじさんもポケットの中からたくさんの写真を取り出した。
「えー!? そんなに持っていくんですか?」
あたしが大袈裟に言うと、『やっぱり、ちょっと多いか』と、一枚だけチョイスして胸の内ポケットに入れた。
「菜緒ちゃん。卒業おめでとう」
おじさんは、微笑んだ。
「ありがとうございます」