また、明日~天使の翼を持つキミへ~
電車の通り過ぎる音。
陸橋を渡る車のクラクションに。
鳥の鳴き声。
開けられた窓からさまざまな音が流れてきた。
椅子から立ち上がり窓際に立つ。
窓からは、N中学のグラウンドがキレイに見えた。
サッカー部、野球部、陸上部。
そんなに広くはないグラウンドで、たくさんの生徒が一生懸命部活に励んでいた。
「……ん」
背後で、布団のこすれる音。
振り返ると、親太郎の目が微かにあいていた。
「親太郎」
ベッド横に立って名前を呼ぶ。
初めは力のない目だったけれど、あたしの姿を確認すると、完全に目をあけ微笑んだ。
「大丈夫?」
「うん。全然平気」
「そっか。よかった」
「それより、よく病室わかったな」
「看護師さんに聞いたの。最初はビックリしたよ。昨日いたはずの部屋にいないんだもん」