また、明日~天使の翼を持つキミへ~


しばらくして、病室に静けさが戻った。


親太郎の様子も落ち着き、ベッドで大人しく横になっている。




太陽が傾きかけ、病室の窓は緑のカーテンで覆われた。


窓を閉めていても、目の前の陸橋を走る車の音が聞こえてきた。



「なぁ、母さん」


親太郎の力のない声。


おばさんは、椅子から体を浮かせ、横になる親太郎の顔を覗きこんだ。


「検査結果、出たんだろ?」


親太郎の目は、真っすぐおばさんに向いていた。


でも、おばさんの目は、宙を泳いでいる。


「隠さなくていいよ。何か異常があったんなら、正直に言ってよ。じゃなきゃ、俺、暴れちゃうよ?」



< 49 / 366 >

この作品をシェア

pagetop