また、明日~天使の翼を持つキミへ~
診察室に最後に入ったのはあたしだった。
看護師さんがドアを閉める。
ピシャリ――。
その音が、どれだけ鼓膜をふるわせたことか……。
絶対に踏み込んではいけない、暗闇へ続く扉のようにさえ感じた。
丸い椅子に座る親太郎の背中からも、あたしと同じ思いが感じ取れた。
「………」
先生は何かを言い躊躇っている。
重たい空気。
ピンと張りつめた空間に、あたし達は、確かに存在していた。
「先生……。この子に、説明をしてやって下さい」
おばさんの小さな声が、診察室に響いた。
「本人が、ちゃんと理解できるまで……」
お願いします。親太郎の隣に立っているおばさんは、先生に深く頭を下げた。