また、明日~天使の翼を持つキミへ~
「決して、負けてはいけないよ」
先生の手が、膝の上で拳を握る親太郎の手を覆った。
「これから、キミは闘っていかなければならない。今まで体験した事のない辛いものになるけれど、それを乗り越えるんだ」
わかったね。親太郎の拳を覆う手に、グッと力を入れた先生。
親太郎の背中は、やっぱり強かった。
「……わかりました」
けれど、お腹の底から絞り出した声は、微かに震えていた。
真っ暗な部屋に閉じ込められたあたし達。
カギ穴はある。
とても大きいものなのに、肝心なカギが見当たらない。
手探りで探すけど、この部屋には何もなかった。
大きなカギ穴からは、白い光りがもれている。
この向こう側はとても輝いているのに。
だから早くカギを見つけ出したいのに。
閉じ込められたあたし達は、ただそこでもがくことしかできなかった。
―Chapter 2―