また、明日~天使の翼を持つキミへ~
桜島の悪口を言ったせいか、怒ってしまったようだ。
山頂からモクモクと上がる灰色の雲。
風向きからして、こちらにやってくるに違いない。
ここ最近、桜島は頻繁に噴火するようになった。
鹿児島は、桜島の噴火さえなければ住みやすい場所なのになぁ。
「菜緒っ!! 教室に逃げんべ。絶対こっちくるぞ」
大袈裟に言った親太郎は、どこか楽しげに校舎の中へと走っていった。
その背中を追うあたし。
親太郎の白いシャツが、太陽の光りにキラキラと輝いていた。
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親太郎が倒れたのは、体育の授業中だった。
ちょうど、体育祭の練習をしていた時。
入場の行進を終え、テントへ戻ろうとかけあしをした瞬間。
男子の列から鈍い音がしたんだ。
振り向いてみると、親太郎がうつ伏せに倒れていた。
意識はあった。
もうろうとしていたが、先生の声には、きちんと反応していた。
そのまま保健室に運ばれた親太郎。
あたしは、親太郎の意識がはっきりするまで、ベッドに寄り添った。