また、明日~天使の翼を持つキミへ~


桜島の悪口を言ったせいか、怒ってしまったようだ。


山頂からモクモクと上がる灰色の雲。


風向きからして、こちらにやってくるに違いない。


ここ最近、桜島は頻繁に噴火するようになった。


鹿児島は、桜島の噴火さえなければ住みやすい場所なのになぁ。



「菜緒っ!! 教室に逃げんべ。絶対こっちくるぞ」


大袈裟に言った親太郎は、どこか楽しげに校舎の中へと走っていった。


その背中を追うあたし。


親太郎の白いシャツが、太陽の光りにキラキラと輝いていた。






□□



親太郎が倒れたのは、体育の授業中だった。

ちょうど、体育祭の練習をしていた時。


入場の行進を終え、テントへ戻ろうとかけあしをした瞬間。

男子の列から鈍い音がしたんだ。


振り向いてみると、親太郎がうつ伏せに倒れていた。


意識はあった。

もうろうとしていたが、先生の声には、きちんと反応していた。


そのまま保健室に運ばれた親太郎。


あたしは、親太郎の意識がはっきりするまで、ベッドに寄り添った。



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