狂った愛情
もう……あとは時間。
警察早く!!
少し力が入った。
ゴトッ…
「!!」
おもわず、トイレットペーパーを落としてしまった。
ト…ト…ト…
章汰の足音が聞こえる。
ピタッ……
終わった。
私は頭を抱え、下を向いた。
「あーみー……?俺はお前とやりなおしたいんだ。ただそれだけ」
クスクスとドアの向こうで笑い声が聞こえる。
「な……!亮平君を刺しといて……!!」
震える声。
「あぁ?あれは勝手に亮平が前に出てきたから。自殺行為って奴?」
勇気を振り絞って私を守った亮平君をけなす男。
殺したいくらい憎い。
でも、今の私には何もできない。
ただ、トイレにこもって警察を待つことしか。
自分の無力さも憎かった。
亮平君を犠牲にして、
私は何もできなくて、
ただ、トイレにこもっておびえてるだけ。
また涙があふれ始めた。
「ひどぃよ……グスッ……章汰さ……ヒック」
どんどん弱々しくなる声。
鼻をすする音が響く。
「亜実?何がひどいの?俺は何かしたのか?」
「……分から……なぃの…?!」
「だってさ、俺を愛さないお前が悪いじゃん?かっる~い仕返しだよ」
何が……軽い仕返しなのよ。
「バカ……バカバカバカ!!私の気持ちも知らないで!!!」