狂った愛情
気が付くと、私はいつもの制服を着て、立っていた。

「……?」

周りを見ると限りない真っ白な世界。

ここはどこ……?
私はとりあえず、歩いてみた。


しばらく歩いていると、周りがゆがみ始めた。

「え?!」

ハッとすれば、私はお花畑の真ん中にいた。
どこを見ても綺麗な花畑で、
上を見れば、透き通った青い空。
何だか、あまりの綺麗さに涙が出る。
すると、さわやかな風が髪をなびかせ、花びらが散る。

「綺麗……」

涙をぬぐい、少し見とれていると、
一つの影が私の視界に入った。

「亜実……」

あの大好きな声。
優しくて愛おしいあの声。

「亮平君?」

私は後ろを振り返る。
やっぱり亮平君だった。
亮平君もいつもの制服姿だった。

彼はニコッと微笑み、私の近くに歩み寄り、静かに座った。
私もつられて座る。
そして空を見上げる。

「綺麗だね。空」

「うん。こんな空見たの初めてだよ」

私はへへっと笑う。
最近、空なんて見てないからね。
なんだかすごくスーッとするなぁ……

「何か、開放感ある。なんでだろ??」

亮平君も同じことを思っていたみたい。
そして二人は下を見る。

なんでだろう。こんな開放感は初めて。
何も縛られないこの感じ。
体が軽いなって思う。

そぉいえば、花畑に座ったのも初めて。
こーんな広い花畑…

ん?花畑?

「「あー!!!!」」

二人そろって、叫びながら顔を見合わせる。

「私たち……だよね?」

“死んだ”とか“章汰に殺された”とか言えない。

「あ、あぁうん」

亮平君も言いたくないっぽい。
やっぱりそうだよね。
私は私の最期を思い出す。
フラッシュバックされる苦しくってグロテスクなシーン。

「これからどうなるんだろう。私たち」

「だよな。てか何この世界」

これが死んだ後の世界なのかな?
昔聞いたことがある。お花畑があるってことは天国……

すると、


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