狂った愛情

「―――説明は以上だ。ホラ、行きな」

「あ、ハイ……」

番人さんは亮平君から一歩離れた。
フワッと風が吹いた。番人さんは髪の毛を直していた。

あの癖……

番人さんは後ろを向き、ゆっくり歩き出す。

あの歩き方……

「!!!!」

私はバカだった。
気づかなかったなんて。
私は走った。

また風が吹き、花びらが舞う。

そう……

「待ってッ……!」

彼は……

「章汰ッ!!」

章汰のハズ……
彼は足を止め、私の方を向く。
追いついた私は両手で彼の両肩を掴んで、

「章汰…なの……!?」

悲しげな笑顔を見せ、静かにうなずいた。
何で…教えてくれなかったの……?
そう聞こうとしたら、

「俺は、10年後の章汰だよ」

続けて章汰は言う。

「お礼が言いたかったんだ。お前に…」

私は章汰の目を見る。

「お前を殺した後、俺はハッとしたんだ……」
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