望美 ~ママ、離れないわよ。私は絶対に!~
分娩室では、看護師らが他の医師を手配して、中断されていた中絶が続行された。



何も知らない政子を相手に、医師と看護師はみな幾重にも重ね合わせた長袖の服を着て、ビニールスーツを羽織り、足には靴の上から長靴をはいて、手には金属製の素材が入っている分厚いゴム手袋を着け、そして顔にはさながらガスマスクにも似た分厚いマスクを被っている。



ただの病院の分娩室のはずが、まるで仕掛けられた爆弾を処理する爆弾処理班のような、テロリストらに人質にとられた人を救出するための突入部隊のような厳戒体制で緊迫した空気のなか、中絶が続けられた。



代理の医師が必死に子宮を拡げ、胎児を摘出しようと試みるが、子宮内にへばり付いている様でなかなか成功しない。



「どうして!!
何でそんなに出てくるのを拒む!!」
と唖然となりながらも続ける医師。



何とか子宮口まで胎児が出てきた……。



しかしやはり粘着ボンドの様にこびりついて離れない。



そして胎児が子宮口に挟まった状態でグニョグニョと大きくなり、成長しだした!!
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