望美
~ママ、離れないわよ。私は絶対に!~
一週間後
病院を退院した政子と義昭は寺へ向かい、幼い命に対しての、手厚い供養をしている。
神殿で望美へ、お経を唱え、お焼香を行ない、墓についての説明も受けた…。
終わり際、寺の住職が、
「あとは仏様に祈ることです。どうか安らかに成仏してくださいと…。
それから地蔵様を大切にしてください。
地蔵は幼くして亡くなってしまった子供の魂や水子の魂達を救ってくださり、善き道へと導いてくださるのです!!
ほら、よく赤いヨダレ掛けをしているでしょう。あれは、赤ん坊を意味しているんですよ。」
と二人に説いた。
政子は
「ハッ!!」
として、屋敷近くにあった例の地蔵の事を思い出した。
(わ、私ったら何てことを………。)
一時間後
供養が終わり、車に乗って屋敷へ帰っている二人。
政子、義昭、共に望美への懺悔の念のためか、口数が少ない。
義昭がボソッと、
「……あの中絶のとき、やけに慌ただしかったよな……。
何か分娩室であったのか?」
と小さい声で政子に尋ねた。