望美
~ママ、離れないわよ。私は絶対に!~
お手伝いは慌てた口調で、
「政子様、実は今、一台の黄色いダンプカーが猛スピードで御屋敷の方へ向かっていると第一検問の方から連絡がございまして……、それでどうやら運転なさっているのが旦那様……義郎様だとおっしゃるんですよ!!」
と言ってきた。
「なんですって?」
第一検問とは、屋敷から5~6kmくらい離れた所に設置せれてあり、敷地内への最初の入口となっている。
そこを猛スピードで強行突破してダンプは侵入してきたとお手伝いは伝えにきたのだ。
義昭は、
「なんでダンプカーなんだ!?」
と言うものの、
「まぁ、父さんが帰ってきてくれたから良いか!!」
とちょっと安心しているようだ。
そして、
「政子、姉さん、門のところまで父さんを迎えに行ってやろう!!」
と政子と美華を促し、三人は屋敷を出て、門のところでダンプカーを迎えることにしたのだった。
まるでフランスの凱旋門のような立派な造りの門。
警備員が数名、警棒を持って待機していた。
政子たちが到着すると、
「グォォォォォォーーーーーー!!!!!」というもの凄い音が、林道の果ての方から聞こえてきた。