望美 ~ママ、離れないわよ。私は絶対に!~

……あの日は、今年の夏で一番暑い一日でした。






ギラギラと太陽が光る八月の東京。
空から私達人間をまるで突き刺すようにガンガン照りである。




21世紀が明け、3年の月日が過ぎた……。



今年の夏は記録的な冷夏となり、一昨日8月17日には日中の最高気温が18℃程度しか上がらなかった。


台風も多く異常気象が取り沙汰されていた。

そんな中、今日は一昨日とはうって変わって東京の最高気温34℃と猛烈な熱帯と化したのである。



そして特に都心ともなれば、仕事へ行き交うサラリーマン達やOL、学生達が道路に密集していて人工密度が高く、コンクリートからの照り返しが更にこの暑さに貢献していた。


昼過ぎのJR渋谷駅には学校終わりの女子高生が幾分か多く見られる。
暑いからか、皆、やる気無く、だらしない顔をしている。
彼女達にとってガングロと言うブームが去った今、空前の美白ブームが到来し、そのため以前は肌の日焼けの為にあんなに仲良しだった太陽だが、今となっては無縁の仲となり、ウザッタくさえ思っているようだ。
皆、日陰でたむろすれば、日焼け止めクリームを、これでもかと塗りたくっていた……。
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