望美 ~ママ、離れないわよ。私は絶対に!~
川添家・ダイニングルーム

時間は昼過ぎ。


義昭、そして義父・義郎のサウジアラビア出張から間もなく二か月が経とうとしている。
明後日には二人とも屋敷に帰ってくる予定だ。


ダイニングでは美華がお見合い相手とのデートの話を鶴子に話している。

「それで、昨日のデートはどうだったんだい?」と鶴子は美華にたずねた。

「それが彼ったら、わたくしのために5カラットのダイヤの指輪を買ってくだすって、レストランで渡してくださったんだけれど、サイズが小さすぎて薬指に全くはめられなかったのよ!
私ったらつい怒ってしまって、彼に指輪を御返しして早々に帰ろうとしたら、彼ったらその場に跪いて(ヒザマズイテ)詫びを入れてきたのよ・・。
その瞬間、私達はもうレストラン中のさらし物!!他の客から白い目で見られて、本当にたまったもんじゃなかったわ!!」と目を吊り上げて話す美華。
相変わらずの悪女っぷりである。

つづけて、
「結局、金持ちの男っていうのは、ああやって金で女を所有物にしたいのよね~。
彼の場合魂胆が見え見えだったわ!」
と豪語した。

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